賃貸物件で床に傷をつけてしまい、悩んでいませんか?
今回はフローリングに焦点をあて、修理費用や直し方について解説します。
あなたの悩み、疑問
- フローリングに物を落とした
- フローリングが傷だらけ、直す範囲はどこまで?
- フローリングの傷、修理費と値段、退去費用は?
- フローリングの傷、保険は使えない?
- フローリングの傷、直し方は?
結論
- 過失による傷は退去時請求される
- 通常損耗は請求されない
- 補修や部分張り替えも可能
- 費用は10万を超えることがある
- 自分で補修する。
- 減額交渉をする。
結論から言うと賃貸のフローリングに傷が付いた場合、原状回復費用を請求される可能性があります。
しかし、傷の程度や入居期間などによっては、賃借人の負担義務がない場合もあります。
具体的には、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づいて判断されます。
例えば、フローリングの傷が「使用上避けられない程度」の軽微な傷であれば、賃借人の負担義務はありません。
また、フローリングの寿命を迎えている(一定の年数が経過している)場合、賃借人の負担義務もありません。
逆に、フローリングに「深いキズ」や「穴」がある場合や、「使用上避けられる程度」を超えた汚れや変色がある場合は、賃借人の負担義務があります。
修繕費用は物件や傷の状況によって異なりますが、補修は5,000円~、全面張替は10万円~となります。
敷金がある場合、敷金から精算されますが足りない場合や、敷金がない場合は、賃貸人から別途請求される可能性があります。
実はフローリングの傷は、原状回復時にトラブルとなるポイントの一つです。
理由は修理費が高額となる為です。
フローリングは材料費以上に、作業費(技術料)が高額となります。
傷の形状や数、シミや焦げ、色褪せや変色など、状況によっても異なります。
この記事を読み退去立会いに備えましょう。
自己紹介
mai
賃貸一筋20年の宅地建物取引士。
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この記事で得られる賃貸情報
- 動向と実情の把握
- 知識と知恵の習得
- 疑問と不安の解消
- 判断、対応力向上
フローリング傷の種類
フローリングの痛みは下記のように分類できます。
傷・汚れ・剥がれ・凹み・染み・焦げ・色褪せ・劣化です。
傷↓
凹み↓
汚れ↓
焦げ↓
剥がれ↓
染み↓
請求される傷、されない傷
退去時は通常「退去立ち会い」があります。
立会い時は担当者が室内をチェックし修繕箇所を確認します。
修繕箇所は貸主か借主または両者の負担で、破損汚損箇所を直します。
これを原状回復と言います。
そして原状回復は国土交通省のガイドラインが基本の考え方となっています。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」と言います。
原状回復の考え方は通常使用の場合、貸主の負担となります。
自然損耗、経年劣化とも言います。
わずかな傷や汚れは通常使用の範囲とされ、請求されない場合があります。
日焼けによる変色や、色あせは通常損耗と判断される傾向にあります。
また、古いフローリングは新品のフローリングと比較し価値は低いと判断されます。
これを減価償却と言います。
入居年数によっては経年劣化として請求されない場合もあります。
過失箇所は借主の負担です。
過失には不注意や誤りによるものも含まれます。
フローリングの傷は基本「過失」と判断されます。
傷・汚れ・剥がれ・凹み・染み・焦げ等は、通常使用と判断されにくい為です。
少しの損傷で全面張り替えを請求される場合がありますが、基本的には損傷部分のみ負担すべきとされています。
入居した時点で傷があった場合、負担する必要は有ません。
立会い時に主張する方が多くいらっしゃいますが、遅いです。
入居した時点で連絡し記録(写真)を残しましょう。
フローリングの修繕方法と金額
フローリング修繕方法は補修か張替えです。
小さな傷は補修、大きな傷や、傷が複数ある場合は張替えです。
使用状況や傷の程度により、補修か張替えを判断し請求されます。
- 補修 1箇所5,000円~
- 部分張替 20,000円~
- 全面張替 100,000円前後
- ワックス剥離 40,000円~
補修方法は穴や凹みや傷を埋めて色付け、補修費用は1箇所あたり5,000円~となります。
例えば補修箇所が3カ所あれば15,000円となります。
下記↓のようにまとまった傷は1式10,000円~など、状況により様々です。
張替えの場合、部分張替えか全面張替え。
通常、賃貸で使用されるフローリング材のサイズは1枚30cm×180cmです。
1枚だけ張り替える部分貼替えも可能です。
部分張替え費用は20,000円~
全面張替えは6帖の部屋で10万円前後。
広い部屋の全面張替えは10万円を超えることもあります。
張替えの範囲やフローリングの材質により金額は異なります。
フローリングを保護する為、フローリング表面にはワックスが塗布(コーティング)されています。
使用状況や使用年数により、フローリングワックスが剥げてくる場合があります。
この場合「ワックス剥離」という作業が必要となります。
古いワックスを落としたうえで、もう一度ワックスを塗りなおす必要がります。
フローリングのワックスは通常使用で剥がれにくいとされています。
使用年数により、借主負担(過失)となる場合があります。
使用されているワックスにもよりますが、本格的なワックス剥離費用は6帖の部屋で4万円~となります。
特殊なフローリング
フローリングの種類によっては、傷がつきやすいものがあります。
見た目では分からない為、生活をしながら感覚を掴みましょう。
カーペットやラグの設置も効果的です。
配置の仕方やサイズの確認等は、こちらのサイトも参考にどうぞ。
cucan ネットショップフローリングの種類まではマイソクや契約書にも記載はありません。
しかしペット仕様のフローリング等「傷がつきにくい」と表示されている場合があります。
傷がつきにくいフローリングは、シートフローリングの場合があります。
シートフローリングは合板に堅い木目調のシートを貼ってあります。
傷がつきにくいメリットもありますが、木の質感や高級感は感じられません。
また材質が「木」である以上、隙間からの水分等、注意は必要です。
床材にはフローリングに似ている柄の、クッションフロアという物があります。
柔らかいビニールシートでCFとも呼ばれます。
シートの厚さは2mm前後、素材は塩化ビニールで「木」ではありません。
無地のCFはフローリングと間違えることはありません。
しかしCFはフローリング調↓の物があります。
稀にフローリングと間違える方がいますが、質感も高級感も単価も違います。
CFは水に強いため、トイレや洗面所に使用されることがありますが、リビングや居室もCFの場合があります。
見分け方は爪を押し付けると、簡単に凹み、すぐ戻ります。
マイソクや契約書に記載される場合もあります。
CFの張替えは1㎡あたり4,000円前後となります。
CFの家具跡は原則貸主負担です。
傷をつけてしまった場合の対処法
賃貸で加入している火災保険(少額短期保険)は、フローリングの補修費用は原則適用外となります。
しかし事故の発生状況や傷の状況により、加入している保険により適用となる場合があります。
傷をつけてしまった場合、退去立会いの前までに保険会社へ確認をしましょう。
フローリング傷は自分で補修することができます。
フローリング補修材は100円ショップでも購入可能です。
その名も「キズかくしクレヨン」
補修方法はクレヨンで埋め、ヘラで削るだけ。
作業時間は5分。
仕上がりはともかく、初心者でもできます。
色が合わなかったり、テカリが出てしまう場合があります。
より綺麗な仕上がりを求める方。
傷補修セットがオススメです。
フローリング 傷 補修 あらゆるキズの補修セット 10色 RAS-1 木部専用 床 家具 木部 コテ プロ仕様 高森コーキ リペアの達人[レビュー記載で次回使えるクーポンプレゼント] 価格:5,480円 |
こちらの商品も基本的にやる事は同じです。
パテで埋めることにより、穴は目立たなくなります。
クレヨンではできない調色が可能、耐久性や視認性にも優れます。
傷は目立たなければ(気づかなければ)請求されないことがあります。
どうせ請求されるのであれば、ダメ元で作業しても良いかもしれません。
私が立会担当者であれば、傷補修セットで補修されたフローリングであれば、おそらく請求しません。
フローリングを傷だらけにしてしまい、全面貼替で10万円請求されたとします。
①1年住んだ場合と、②10年住んだ場合、入居者の負担金額は異なるべきです。
10年使用すればフローリング材は劣化(減価償却)します。
例えば20年で価値が無くなるとした場合、1年あたり5,000円減価償却します。
極端な例ですが、①の負担は9.5万円、②の負担は5万円、のような感じになります。
減価償却された部分は、貸主が負担する必要があります。
補修費用は減価償却対象外です。
根本的な解決にはいたりませんが国民生活センター(消費生活センター)へ相談してみましょう。
退去時の原状回復による国民生活センターへの相談は年間1万4000件とも言われています。
原状回復費用に疑問を抱いた場合、指標となる考え方や一般的な考え方を示してくれます。
消費生活センター自体が何か行動してくれるわけではありません。
また消費生活センターで言われたことを担当者に言っても、あまり効果は期待できません。
考え方を教えてもらい、ご自身の疑問や考え方が正しいのか知識を蓄えましょう。
フローリングの張替費用は不動産業者、管理会社、リフォーム業者により異なります。
相場より高額な単価となっている場合、減額交渉をしましょう。
原状回復費は交渉が可能な場合が数多くあります。
原状回復で利益を追求する不動産屋もありますが、基本的にはグロスでマイナスにならなければ良いのです。
また、原状回復費には、不動産屋の経費が上乗せされている場合があります。
例えば入居者負担10万円請求、工事業者への支払いは8万円、等です。
この内訳は基本的に分かりません。
ご自身で業者を探しても、8万円で収まらない場合もあります。
しかし交渉の余地はあるかもしれません。
そもそも傷がなければ発生する費用ではありません。
基本的には傷をつけた借主が悪いとされてしまいます。
契約書には借主負担と明記もされているでしょう。
立会担当者は弁護士や消費生活センター、裁判というフレーズは聞き慣れています。
交渉ワードとしては効果が低いと言えるでしょう。
少額訴訟という手段もありますが、時間と労力を費やします。
原告はプライベートな時間を割く必要があり、被告は仕事として処理します。
また、態度や言動が悪いと、交渉の効果が弱まる可能性もあります。
交渉は喧嘩ではありません。
交渉はシンプルかつ冷静に、感情的にならずスマートに行うことを心がけましょう。
まとめ
- 過失による傷は退去時請求される
- 通常損耗は請求されない
- 補修や部分張り替えも可能
- 費用は10万を超えることがある
- 自分で補修する。
- 減額交渉をする。
フローリングの傷によるトラブルは、比較的多い項目です。
退去を控えている方はフローリングにかかる負担と金額を把握し、細かい傷があれば補修してしまいましょう。
また、これから入居する方は傷をつけないよう十分注意しましょう。
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