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敷金ってなに?相場や返金など、わかりやすく解説。

賃貸借契約では様々な費用が存在します。

そこで今回は部屋探しをしている方向けに、敷金とは何か、についてお話したいと思います。

結論

  • 敷金とは一言でいうと、貸主に預けるお金
  • 相場は0ヵ月~2か月
  • 解約後返金されるお金
  • 返金されない場合もある

自己紹介

mai

賃貸一筋20年の宅地建物取引士。
賃貸業務一連の実務経験有り。
現在は年間約200本の賃貸借契約がメイン。
「満足度の高い取引の達成」を目指しましょう。

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常識から逸脱する行為は、事例として紹介することはありますが推奨はできません。

また、筆者の経験から派生した主観が含まれます

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この記事を読むと得られる事

  • 賃貸動向と、実情の把握 
  • 賃貸知識と、知恵の習得 
  • 取引の疑問と、不安解消 
  • 判断力と、対応力の向上 

それでは細かく見て行きましょう。

敷金は貸主に預けるお金

敷金とは貸主に預けるお金で、契約時に借主から貸主へ支払う必要があります。

民法上の表記

いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。

敷金の用途は債務控除

賃貸借契約では借主は貸主に対して賃料を支払う義務が生じ、これを債務といいます。この債務の履行がされなかった場合(債務不履行)貸主は敷金からその債務を控除する事ができます。

この内容をかみくだいて表現すると、払わなければいけない費用が払われていない場合は、この預り金を使いますよ、って事です。

保証金のようなもの

分かりやすい例でいうと、賃料が支払われなかった場合は、貸主は敷金を賃料に充てる事ができる、という事です。要するに万が一貸主が損害を受けた場合の補償、という意味合いのお金で、保険みたいなものです。

コンビニで買い物をする時に、敷金は預けないですよね?コンビニの買い物も契約の一種なのですが、きわめてシンプルな契約なので仲介者も不要ですし、敷金のようなお金も不要です。

日常にないお金なので知らなくて当然ですね。

相場は賃料の0~2か月分

最近民法改正による敷金の扱いについても、若干の変更がありましたが、債務の種類には賃料の他にも、管理費や共益費、修繕費用や原状回復費用なども含まれます。

そういった観点から通常は1ヵ月から2ヵ月分の敷金を設定されている物件が多く、預けないと入居する事ができません。クリーニング代を前払いとした0ヵ月という物件も最近は多くなってきました。

敷金のルールと制限

実は敷金には民法上のルールが存在し、制限があるのをご存じでしょうか。いつでも返金と使用ができるわけではない、という事です。

返金の条件は引き渡し完了

敷金返金の条件は下記の通りです。

  • 契約が終了し、部屋の引き渡しが完了した時
  • 部屋をきちんとした手順で別の方に譲り渡した時

使用用途は貸主が判断

  • 借主は、用途を決められない
  • 貸主は、用途を決める事ができる
  • 貸主は、借主の承諾を得る必要がある

最大のポイントは、借主は敷金の用途を決めれませんよ、という事です。

借主は使用用途を決められない

入居者によっては稀に、来月の家賃は敷金を充ててほしい、と主張される方がいらっしゃいますが、答えはNOです。そもそも借主(入居者)は敷金の使用方法を相手に求める(請求する)事ができません。

そして解約するまで返金も受けられません。

もともとは借主のお金だという主張する方もいらっしゃいますが、残念ながら貸主は解約後は返金する義務があるだけで、契約期間中は貸主のお金、という扱いになります。

借主は解約の時を迎えるまで使うことはできないのです。

敷金とはそういうお金で、そういった目的で預けるお金が、敷金なのです。

原則敷金は返金される

結論から言うと、原則敷金は返金されますが、返金されない場合もあります

債務の金額により返金されない

敷金は前述したとおり、契約が終わり退去したら必ず返金する義務のあるお金で、きちんと返金はされます。基本的には預り金なのです。

しかし多くの人が勘違いしている注意してもらいたい事が、債務(賃料や修繕費や原状回復費等)が残っている場合は別、返金されない場合もある、金額によっては敷金では足りない場合もある、という事です。

敷金で不足する場合は、貸主の指定する方法で追加費用を支払う必要があります。

返金は解約後、1ヵ月以内

目安となりますが敷金の返金は解約後1ヵ月以内となっている場合が多いです。

債務の金額が確定している場合、それを控除して引き渡し後1ヵ月以内には返金される事が一般的です。では金額が決まっていない場合はどうでしょう、金額が決まるまで返金ができない、という事になります。

特に多いのが、原状回復費用が未確定、です。原状回復費が未確定の場合は確定するまで返金は受けられません。理由は債務(原状回復費)が残っている、という扱いになるからです。

原状回復については原状回復ってなに?で解説しておりますので、参考になさってください。

原状回復ってなに?ガイドラインや負担割合、敷金は返ってくる?について解説。

原状回復費用が決まると、債務の総額が決まり、債務差し引き後の返金となります。返金のタイミングとしては、原状回復費用確定後、1ヵ月以内という事になります。

礼金と敷金は別

礼金は預り金ではありません。よって返金もされません。

礼金の意味合いとしては諸説ありますが、貸してくれてありがとう、という謝礼のお金、東京発祥?の慣習的なお金です。

お礼のお金という事であれば、別のかたちでのお礼はあるかもしれませんが、一度受け取ったお礼を返金するという事は、基本的にはないですよね。

今では制度というか実質的には契約条件となってしまっています。

礼金については別の記事で詳しく解説いたしますが、今回注意していただきたい事は、敷金と礼金はまったく違うお金、という事です。

解約時によくある話ですが、入居する時に敷金を何か月も払っていると主張する方もいらっしゃいますが、これはほとんどが礼金です。

礼金は返金される?相場や用途、由来等の基礎知識について解説。

契約時は様々な費用がかかり、そもそも知らない費用ばかりですし、説明を受けたとしても分かりにくく混乱します。

そして月日は流れ解約時に原状回復などの話をしていると、過去の記憶がすり替えられてしまのです。私の経験上もよくある事なのですが、仕方のない事だと思います。

なので賃貸借契約書が存在するのです。

今後はどうなる?

敷金・礼金・更新料は、現代の賃貸借契約においては一般的ではあるのですが、個人的には今の時代にあわない不要なお金だと思っています。

全て無しにして賃料を上げれば、入居者としては分かりやすく、将来的にはなくなる(なくなってほしい)お金だと感じています。

今の時代には合わない(分かりにくい)

今回の説明を見て、分かりにくいと感じた方も多いと思います。

担保が必要であれば、敷金としてではなく、賃料の中で貸主サイドで積み立てていくか、別の手段を考える方が良いと感じます。

皆さんが大好きなサブスクリプションには、敷金、礼金なんてものはないですよね。一律の料金のなかで、いろいろなサービスが使い放題、これが現代のニーズで賃貸借契約もそうあるべきだと感じています。

単純に家賃を上げれば良いと言いましたが、複雑な権利関係や法律等をクリアする必要も出てきます。様々な事例を調査し、学習し、知恵を使っていく必要があります。

敷金がない物件は増えている

今回は敷金についてお話しましたが、実は最近敷金がない物件も多数流通しています。敷金が無い(債務の担保が無い)状況は、今までの話からすると貸主にとってはどうでしょう、不安ですよね。

では何故敷金ゼロ物件が成立しているのでしょう、仕組みは簡単、保証会社があるからです。

保証会社が敷金無しを後押し

最近の保証会社は賃料の滞納はもちろん、修繕費や原状回復費、立ち退き費用や残存物の処理代まで保証してくれるものもあります。保証料によっては連帯保証人も不要にする事ができます。

保証会社のおかげもあり敷金が無くても、貸主としては安心して貸すことができるようになったとも言えるのではないでしょうか。

保証会社はこのような金銭の支払いに関する交渉や、支払っていただく為の法律や技術、ノウハウを熟知していて、得意なのです。

昔の大家さんでは専門家でないかぎりこのような対処は難しかったと言えるでしょう。だからそういった意味での敷金(保証)が必要だったと考えられます。

敷金や連帯保証人は昔の考え方、保証会社は現代の考え方かなと感じます。本来はこのように変化していくべきで、今回の保証会社は一例となりますが、一歩進化した姿だと感じます。

保証料は敷金の代わり?

保証会社の費用は一般的には借主(入居者)が支払います。借主負担という事は少し引っかかる方もいるかもしれません。

保証会社は貸主を守る為に入るもので、借主に入ってもらうものではない、という考え方もありますが、現時点では、敷金の代わり、貸主に信用してもらうための信用料、という要素が含まれていると考えられ、借主負担となっています。

mai
mai

火災保険であれば、火事の延焼で被害を受けた場合、自身の火災保険で身を守るのです。

以上の理由から、保証料は払いたくない等と不動産屋に言ってしまうと、入居を断られてしまう可能性もあるので、この考え方はここで留めておいてください。

まとめ

敷金とは貸主に預けるお金で、相場は0ヵ月~2か月解約後返金。退去時に引かれるお金がある、という事をお分かりいただけましたでしょうか。

敷金は賃貸物件特有のお金なので、分からなくて当然です。

どういうお金が分からない、初めから返金されないと思っていた方、または初めから敷金は返金されないお金、返金を期待しないようにしている方、などもいらっしゃると思います。

貸主も借主もお互いが間違った用途に使用する、使用される事がないよう、正しく理解し、契約する事を願っています。

ではまた。

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