今回はお部屋探しをしている方に向け、賃貸物件の交渉やテクニック、コツ等を解説します。
この記事を読んでいる方、家賃交渉はできる、交渉はしなきゃ損、などとSNSで見たり、誰かに言われたりしませんでしたか?
実は家賃交渉は成立しない場合の方が多いです。
では何故交渉できると言う話が多いのでしょうか。
それは交渉不成立の場合、話題性が低く不成立の情報発信が少なく、目につきにくいからです。
結論
- 家賃交渉の可否は物件による。
- 人気物件は交渉しにくく、不人気物件は交渉しやすい。
- 家賃交渉がうまくいく確率は2割程度。
- タイミングは申込前。
- コツは「下げてくれたら申込みます」の言葉。
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成功の要因は、不人気物件だった、というと、絶対ではありませんが、分かりやすいかもしれません。
自己紹介
mai
賃貸一筋20年の宅地建物取引士。
賃貸業務一連の実務経験有り。
現在は年間約200本の賃貸借契約がメイン。
「満足度の高い取引の達成」を目指しましょう。
このサイトは、コンプライアンスを重視します。
常識から逸脱する行為は、事例として紹介することはありますが推奨はできません。
また、筆者の経験から派生した主観が含まれます。
ご意見、ご質問などお気軽にコメントください。
この記事を読むと得られる事
- 賃貸動向と実情の把握
- 賃貸知識と知恵の習得
- 取引の疑問と不安解消
- 判断力、対応力の向上
それでは細かく見ていきましょう。
交渉自体は可能
前提として、どんな物件でも交渉自体は「可能」です。
というより、貸主、借主の条件を調整(交渉)していくのが仲介業者の役目です。
条件を交渉してもらう為に仲介業者が存在するのです。
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入居日の交渉等、少なからず交渉は発生しているのです。
今回皆さんが知りたいのは、家賃交渉です。
残念ながら家賃交渉は、物件によりますが、できない場合が多いです。
私の経験上、家賃交渉が成功する確率は高めに見積もっても2割前後ではないかなと感じます。
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家賃以外の交渉を入れると、7割前後まで上昇するように感じます。
今回は家賃交渉のみに焦点をあてたいと思います。
インターネットや知人から、
家賃交渉がうまくいった、
家賃は簡単に下がるよ、
交渉しなきゃ絶対損、
等の情報を入手した事はあるのではないでしょうか。
成功事例は拡散されやすいのですが、失敗事例は知らない方が多いのです。
ちなみに私が携わっている物件は、基本家賃交渉は不可、家賃交渉には応じる事ができない仕組みなのです。
交渉は沢山される立場ですが、全て断っています。
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このような貸主や不動産業者は一定数存在します。
交渉はできないと思っていた方が、断られた時の感情を考えると、気持ちよく取引ができるのかなと感じます。
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断られた時のストレスを理解した上で試みましょう。
気に入った物件があったら、できれば3社から見積りをもらい相場をつかみましょう。
SUUMOなどのお問い合わせフォームから見積もりを依頼しましょう。
業者により、そもそもの見積もり金額が異なる場合があります。
見積もりを断り来店を求められたら、注意した方が良いかもしれません。
基本的に見積りは無料でいつでも提供してくれるものです。
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物件により不動産業者は、同じ物件を紹介することができます。
交渉には大小ある
交渉種類は2種類に分ける事ができます。
交渉の金額が大きいか、小さいか、です。
賃貸借契約には様々な条件があり、その条件ごとに交渉する余地があるのです。
- 家賃
- 初期費用(敷金・礼金・前家賃)
- 仲介手数料
- 入居時期(フリーレント)
- 特殊契約(無職、代理契約、連帯保証人、高齢者、外国籍、ペット、楽器、短期契約等)
- 大規模な修繕、設備交換
- 学生、法人名義の契約
- 保険料
- 消毒費用
- サポート費用
- 鍵交換費用
- 軽微な修繕、清掃
これらは全て貸主から提示される条件で、調整すべき項目なのです。
交渉の中で一番多い相談は断トツ入居時期です。
物件や希望日にもよりますが、入居時期は比較的交渉しやすい条件の一つかもしれません。
その他小さい交渉や、契約の条件についてはこちらの記事も参考になさってください。
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仲介業者はそういった要望を貸主に相談し、交渉する必要があるのです。
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全ての条件が問題ない、交渉を一切しない、という方もいますが、これは調整してほしい、という事が少なからずあります。
交渉時の重要ポイント
皆さんが求めるのは当然「大きな交渉」だと思います。
そしてその中で特に聞きたいのが「家賃交渉」ではないでしょうか。
交渉を成立させる為の超重要ポイントを4つご紹介します。
- 条件の提示
- 契約の意思表示
- 交渉のタイミング
- 信頼関係の構築
まずは、自身の条件を満たす為、予算や引っ越し時期など具体的に提示をしましょう。
宅地建物取引業法上、仲介手数料以外の雑費などの支払い義務はありません。
法律上支払い義務がなくても、契約上は全て支払う必要があるのです。
そして全てに共通して言える必須ワードがあります。
それは交渉に応じてくれたら「契約します」というワード、ここに決めたいという意思表示です。
不動産業者としてはかなり頑張りたくなるフレーズである事は、間違いないでしょう。
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家賃交渉のタイミングはズバリ申込前。
内覧が終わり、この物件以外には考えられない、と判断したタイミングで交渉しましょう。
内覧直後である必要はありません。
何日か経過した後でも、とにかく申込む前、という事が大事です。
申込後の交渉はマナー違反だと感じます。
例えば、あなたが友人に1万貸してと頼まれ、貸す事を約束(申込)したとします。
約束した後(申込後)に、やっぱり2万貸して、と頼まれた(交渉された)場合、あなたならどう感じますか?
しかもそれが友人ではなく他人だったら、どう感じますか?という事です。
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1万円すら貸したくない、と交渉は決裂します。
交渉をうまく進めるうえで大切な事がもう一つあります。
信頼関係の構築です。
信頼できない人は交渉をしてくれない可能性があります。
交渉したように見せかける場合もあります。
例えば出会い頭に交渉するような行為は控えた方が良いかもしれません。
また、電話やメール、約束や時間など、最低限のマナーを守り、お客様だからといって横柄な態度をとる事もやめましょう。
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信頼できない人に対し仲介業者は交渉をためらいます。
例えば、仲介業者が一生懸命交渉して、貸主が値引きをしてくれたとします。
お客様からやっぱりキャンセルします、と言われた場合どうなってしまうでしょう。
貸主は交渉を入れた仲介業者に対し不信感を抱きます。
信用度、評価全体が下がってしまう可能性もあるのです。
仲介業者の立場からすると、貸主に交渉する以上、お客様との信頼関係を構築し、それなりの覚悟をもって貸主との交渉にあたる必要があるといえるでしょう。
例えば、月額費用の予算を80,000円と伝えましょう。
82,000円の物件が81,000円や80,000円になるかもしれません。
例えば、入居希望を2ヶ月後と伝えましょう。
1ヶ月分のフリーレント(賃料無料)をつけてくれるかもしれません。
例えば、初期費用の予算を30万と伝えましょう。
オーバーした端数を値引きしてくれるかもしれません。
例えば、他の物件と迷っていると伝えましょう。
その物件に近い条件で提示してくれるかもしれません。
例えば、エアコンだけでも新品になりませんか?と伝えましょう。
年数が経過している場合は、交換してくれるかもしれません。
例えば、火災保険は自分で入るので外せませんか?と伝えましょう。
割安な保険があるかもしれません。(基本的に、火災保険の加入義務はあっても、保険会社の強制はできません)
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これらは実際にある交渉の中でも、比較的頻度の高い交渉であるといえます。
交渉成立する理由、不成立となる要因は?
ではなぜ交渉が成立したり、不成立となったりするのでしょう?
基本的には貸主の意向(性格・気分)とその物件の人気の度合いによります。
成立する主な要因としてはやはり人気がない、と言う事が考えられます。
賃貸市場は、空室期間や空室時期、空室数、築年数や立地、周辺物件により、価格相場は変動します。
賃料はもちろん敷金や礼金、その他の条件も、空室の時期やタイミングにより常に変動しているのです。
その中でも人気がない物件は、空けておいても意味がない、安くしてでも入ってもらおう、となる訳です。
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判断は貸主の意向による、という事になります。
私が取り扱っている物件も、本当に決めたい物件、決まらなくて困っている物件だけは、特例として家賃交渉に応じる場合があります。
原則不可ですが、タイミングによっては交渉ができると言えます。
冒頭の「物件による」という事につながります。
要するに人気がなく困っている物件であれば、交渉を受けいれてくれる場合があります。
困っていない物件であれば、一切受け付けない、といった事が考えられるのです。
一番可能性が高いのは、先ほどの逆で人気物件である、という事です。
人気があるので下げる必要がないのです。
分かりやすい例で言うと、新築物件です。
新築物件は「交渉できません」と言うと、ほとんどの方が「ですよね」と納得します。
つまり、そういう事なのです。
新築でも人気がない場合は交渉できます。
その他、頑固な大家さんだったり、不動産屋の体質や考え方にもよります。
交渉時にやってはいけない事
交渉時は明らかに無理のある条件の提示はやめましょう。
無理のある条件とは、複数の交渉を大量に入れたり、大幅に安い金額を提示したりする事です。
例えば家賃交渉の金額は、個人的な目安としては5%以内(100,000円の賃料に対して、5,000円引き)の提示に留める事をお勧めします。
当然、不成立となったり、1,000円、2,000円程度の減額にとどまるかもしれません。
何も言わず申込みをすると、相手から下げてくれるという事はないでしょう。
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経験上10%(100,000円の賃料に対して、10,000円引き)は承認が下りた事がありません。
常識外れな交渉はよほどの事情がない限り、断られる可能性が高いです。
仮に交渉の余地があったとしても、受け付けてくれなる可能性があります。
申込をした後の交渉もNGです。
一度は金額などの諸条件を納得し、自らの意思で申込をした為です。
貸主や不動産会社は、その条件で審査を開始し、入居募集を停止し、契約書類の作成にとりかかります。
稀に条件をきちんと確認せずに申し込んでしまった。
資料に書いてある事を知らなかった。
気分が変わった。
という方もいらっしゃいますが、当然これもNGです。
交渉をしたい場合、理解していない状態や、悩んでいる状態では、申込をしてはいけないと言うことです。
絶対いけない、という訳ではありません。
快く相談に応じてくれる貸主や不動産会社も当然あります。
だとしても少なからず信頼度が低下し、この人は信用できるのか?
入居してからも無理難題を言ってくるかもしれない、と貸主に不信感を与え、警戒させてしまう可能性があるのです。
申込後にどうしても交渉が必要な場合は、まず謝罪。
いかなる事情があろうと一度はご自身の決断で申し込みをした、という事実を認めましょう。
その上で考え直したい、どうしても引っ掛かっている部分がある等、正直に伝えるようにしましょう。
詐欺や脅迫による申込は別。
交渉ではなく申し込みの取り消しをしましょう。
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詐欺や脅迫による申込の取り消しは、その事実を知らない関係者(善意の第三者)に対しても有効です。
申込直前で不動産業者を変更する行為も、やってはいけない事ではありませんが、マナー違反です。
不動産業者は何社か訪問する事はおすすめしたいのですが、物件によっては同じ物件の取り扱いがある為、次のような行為が発生する事があります。
A社で内見をし、申込をした状態で突然B社に乗り換える。
理由はB社の見積もりの方が安いと気付いた、うちなら同じ物件で仲介手数料を割引きますよ、等と言われたからです。
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契約が欲しいからと割り込むB社にも問題がありそうです。
この場合、何も言わず突然乗り換えるのではなく、まずはA社にその事実と、出来ればA社で契約したいということを伝え、同等の割引が可能か相談する事をおすすめいたします。
もしB社にお願いするのであれば、お世話になったA社に連絡し、しっかりと理由を伝え、きちんとお礼と断りを入れた上で、B社で契約を行いましょう。
私個人としては、契約ほしさに後から割り込んでくるB社のような業者(担当者)は、あまり信用できませんが、安くはなると思います。
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A社の対応に問題がある場合もあります。
その場合も丁重にお断りし、誠意ある対応を心がけましょう。
- 家賃交渉の可否は物件による。
- 家賃交渉がうまくいく確率は2割程度。
- 入居時期は比較的交渉しやすい。
- タイミングは申込前。
- コツは「下げてくれたら申込みます」の言葉。
- 申込後の交渉は控えましょう。
家賃交渉の可否は物件により交渉が成立する可能性はある。
家賃交渉が成立する確率は低いという事をお分かりいただけましたでしょうか。
なぜ不動産の契約時は交渉という言葉が出てくるのでしょう。
小さい交渉が必ず生じる為ではないでしょうか。
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コンビニでジュースを買うとき、交渉はしません。
条件がシンプルで金額に統一感があり、仲介者もいないからです。
では家電量販店はいかがでしょう。
交渉するという側面からすると、少し不動産の契約に似ているのかもしれません。
交渉は成立したときに情報として発信する方が多く、交渉はしないと損、と考えている方も多いのではないでしょうか。
実態として家賃交渉は不成立となったり、家賃交渉をせずに契約をしている方が大半です。
また、入居後、数年経過したあと、更新時の交渉も有効な場合があります。
更新時も交渉しましょう。
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部屋探しはタイミング。交渉もタイミングです。
ではまた。
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