このページでは賃貸物件を探している方の他、大家さん、オーナーさん、個人投資家の方に向け、一括借上げについて情報を発信します。
また、サブリースとは何か、賃貸管理の仕組みや管理方法まで、管理者目線でお話ししたいと思います。
部屋探しをしている方は予備知識として、管理業者を探している方は管理形態を整理しましょう。
結論
- 管理をお願いしたい大家さん、不人気エリアは一括借り上げがお勧め
- 管理をお願いしたい大家さん、人気エリアは自主管理がお勧め
- 部屋探しをしている方、自主管理より管理会社による管理が望ましい
自己紹介
mai
賃貸一筋20年の宅地建物取引士。
賃貸業務一連の実務経験有り。
現在は年間約200本の賃貸借契約がメイン。
「満足度の高い取引の達成」を目指しましょう。
このサイトは、コンプライアンスを重視します。
常識から逸脱する行為は、事例として紹介することはありますが推奨はできません。
また、筆者の経験から派生した主観が含まれます。
ご意見、ご質問などお気軽にコメントください。
管理の内容
賃貸マンション・アパートの管理というと何が思い浮かびますか?
一言で管理といわれますが、メインの内容としては下記4つの管理が必要となります。
アパート、マンション等の賃貸借契約は必ず家賃が発生します。
この家賃を集金し、金額を照合、過不足がないか確認し記録をつける必要があります。
無償の貸し借りは使用貸借契約と呼ばれ、この場合金銭のやりとりはありません。
賃料が未納の場合は滞納督促も必要となります。
通常は借主と連帯保証人に督促しますが、支払われない場合は裁判となります。
最近は保証会社が主流、入居時に保証会社の契約を条件とする事をおすすめいたします。
お互いにメリットがあり、裁判まで代行してくれる場合や、孤独死等の保証をしてくれる場合もあります。
アパート、マンションは誰かに住んでもらう必要があります。
その為には入居中の部屋と、空室を把握し空室の部屋は募集をする必要があります。
空室リスクを必ず伴います。
誰かに住んでいただいた場合、人の管理をする必要があります。
部屋の使用状況や契約内容に違反していないか、近隣の方に迷惑をかけていないか、例えば「ごみ出しの曜日を守っているか」等です。
ただ管理人でもいない限り、なかなか違反している方を取り締まったり、注意したりする事は難しいです。
その場合は苦情や相談として管理者に連絡が入るので内容に応じきちんと対処する必要があります。
分かりやすい言葉で表現すると「クレーム対応」です。
クレームが入った場合、入居者やその関係者へ直接指導や注意・呼びかけを行う必要があります。
名目の通りとなりますが、物件清掃や定期点検、修繕、建物の維持に必要な項目を定期的に実施する必要があります。
- 駐輪場の整理
- ごみ置き場の片づけ
- 共用灯のチェックや交換
- 駐車場の舗装やライン引き
- エレベーターの定期点検や消防設備の点検
- 器具の交換
- 植栽剪定や植え替え
- 水撒き
- 設備管理(防犯カメラ、自動ドア、エントランスドア、集合郵便受、宅配ボックス、テレビアンテナ)
もちろん部屋の中の設備(エアコン、給湯器、給排水設備、電気設備)も管理対象となります。
賃貸管理の種類は大きく3つ
賃貸物件の管理は大きく3つの方法が存在します。
自分で管理するか、人に管理を任せるか、部分的に任せるかです。
アパートやマンション経営(建築)する場合は、管理方法をどのように行うか決めておく必要があります。
物件の規模にもよりますが、仕事をしている方や、専門知識がない方はプロの方に任せた方が無難です。
任せる場合は管理料が少なからず発生する為、建築費やトータルの収支を見据え考える必要があります。
時間や知識の制約から自主管理を選択する方の割合は低いです。
管理を行う場合に必須となる資格のようなものはありませんが、自己管理を選択しない1番の要因は①で述べた「クレーム対応」です。
逆の考え方をすると、時間と労力とお金をつぎ込む事で、基本的には解決できます。
このような話をする時は大抵が「万が一」の話です。
万が一なので、大きなトラブルや解決できない問題という事は、日々管理に携わっている私でも滅多にありませんし、どんなトラブルも必ず解決はします。
稀にある大きな問題に向き合える方は、月々の経費を抑える事ができます。
経験があるから言える事かもしれませんが、個人的には自己管理も有りです。
昔の「大家さん」と呼ばれる方は、自己管理の方が多かったと思います。
印象としては知識や経験で対応するというより、感情や感覚で向き合う感じです。
性格がそのまま管理に影響していたような印象があります。
契約書をきちんと守りお堅い管理会社と、親身に話しを聞いてくれ感覚で対処してくれる(してくれない)大家さん。
大家さんという言葉に馴染みがない方はこちらの記事をご確認ください。
大家さんとは?大家の資格は?管理会社、仲介会社との関係を解説。この記事では入居するのであれば、プロの管理が行き届いた物件を推奨します。
どちらが良いか判断できるのは、直接やり取りをした事のある入居者だけです。
委託管理を選択した場合は、ほとんどを管理会社が代行してくれます。
とにかく手間が省けますが、費用がかかります。
委託管理の中でも種類があり委託の内容によって手数料が変動します。
管理会社によりますが、例えば集金管理や集客(入居募集)だけを依頼することもできます。
集金だけして督促はしない場合や、督促もセットになっている場合、清掃だけを委託する場合やクレーム対応だけお願いする等、条件や料金、対応の可否は様々です。
委託管理の中で特に需要がある項目としては、入居募集の要素ではないでしょうか。
督促もクレーム対応も、そもそも入居がないと何も始まりませんからね。
今回はあえて入居募集も委託管理として表現しています。
自己管理でも委託管理でも、募集だけ管理会社と別の不動産屋に依頼する事も可能です。
募集と管理はセットでお願いした方が、手間も時間も削減できます。
管理料の目安は賃料の3%~5%が多いです。内容によっては毎月固定で月間数万円とか、清掃代のみとか、管理会社により異なります。
サブリースとは転貸する事です。
仕組みとしてはアパートやマンションの所有者が一棟丸ごと管理会社に貸し、管理会社が別の方に転貸(又貸し)する、といった仕組みです。
わかりやすくいうと管理を丸ごと管理会社に依頼する、という事になり物件所有者にとっては一番シンプルで簡単な管理方式となります。
一番のポイントは、空室でも滞納でも家賃が入るという事です。
呼び名は不動産会社ごとに異なる場合があります。
- 一括借上げ
- マスターリース
- 家賃保証
- 満室保証
- 滞納保証
厳密に言うと違うのですが、総称してサブリースと呼んだりします。
管理料(保証料)の目安は賃料の10%前後といったところです。
ただし保証料以外に管理費や共益費は管理会社へ、支払われなければならない場合があります。
とにかく時間がない、という方や、手間がかからない方法を優先したい、という方にはおすすめです。
ただしリスクも存在します。管理会社により異なり、2年・5年・10年単位で賃料の見直し(契約更新)があります。
年数が経つと新築時の賃料で成約できなくなる場合が数多くあり、その場合更新のタイミングで、オーナーに支払われる金額が一気に下落する場合があります。
物件を建築する場合は、立地や間取り、価格設定等、任せきりにせず客観的な目で十分に検証する事をおすすめします。
また管理会社選択ミスや、想定外の支出などによる失敗が生じると、一括借上契約を解約する方もいらっしゃいます。
この場合中途解約となる場合が多く、比較的高額な違約金が発生する傾向にあります。
一括賃貸借契約を締結する場合は、そういった部分もチェックしたうえで契約する事をお勧めいたします。
オーナーの8割以上が委託管理
2022年6月28日、不動産投資会社の健美家株式会社より管理状態についてのアンケートが発表されました。
結果はほとんどの方が委託管理。
逆に全て自主管理の物件は約2割あると言えます。
「あなたは、賃貸経営で所有する不動産をどのように管理していますか?」を尋ねたところ、最も多かったのは「全て管理を委託」で、53.8%を占めた。「全て自主管理」が16.9%、「両方ある」が29.4%となった。
2022/6/28健美家アンケート
管理の委託はエリアで判断
人気エリアや駅近の物件の場合、サブリースの運用は無駄が多いと言えます。
理由は満室保証が不要だからです。
逆に郊外の物件や古い物件、バス便、駅が小さかったり、人口が減少傾向である地域等、人気が出にくいエリアでは満室保証を付けるべきです。
保証料10%は決して安い費用ではありませんが、人気のないエリアでは効果的に働く可能性があります。
よって人気物件で満室保証は不要、管理が必要な部分のみ3%や5%で運用がおすすめです。
特殊な区域を除いては、徒歩15分〜20分あたりから極端に厳しくなるエリアもあります。
参考にしてみてください。基本的にバス便は人気が低いです。
まとめ
- 管理をお願いしたい大家さん、不人気エリアは一括借り上げがお勧め
- 管理をお願いしたい大家さん、人気エリアは自己管理がお勧め
- 部屋探しをしている方、自主管理より管理会社による管理が望ましい
ちなみに管理会社の選定時は目先の条件にとらわれず、その管理会社が実際に管理をしている物件を見に行くと良いでしょう。
管理の質には大きな差が生じる場合があり、管理会社によっては資産を大切に守ってくれます。
見なければいけないポイントは、こちらの記事を参考にしてください。
絶対借りてはいけない物件とは?部屋探しで後悔、失敗しない方法を解説。ではまた。